ナノストローブX　後付け可能なリアルタイム液滴監視システム

液滴の形状と容量をリアルタイムで可視化

2つのカメラを用いたマルチアングルイメージングにより、吐出される液滴を3次元で立体的に捉えることが可能です。液滴が吐出されると同時に、その形状と容量を瞬時に数値化。これまで人の手や高価なレーザー装置で一滴ずつ計測していた膨大な手間と時間を大幅に削減し、製造プロセスにおける品質の安定と効率化を実現します。

従来の計測方法との比較

従来の重量計による計測では、リアルタイム性に欠け、振動や液滴の蒸発による誤差が生じやすい課題がありました。また、2次元の光学機器では見る角度によって精度に誤差が生じる可能性があり、何より高価でインラインでの使用が困難でした。

ナノストローブXは、これらの課題を解決。コンパクトかつ低価格でディスペンサヘッドに直接取り付けられ、振動や蒸発の影響を受けずにインラインで高精度な3D計測を実現するソリューションです。

ノズルの詰まりなど装置の状態を可視化

液滴だけでなく、ノズル先端の状態も鮮明にモニタリングできます。接着剤の蓄積やノズルの汚れ、予期せぬ衝突によるニードルの曲がりといった、吐出不良の直接的な原因となる問題を画像で正確に把握。これにより、吐出位置のズレや量のばらつきといった問題を未然に防ぎ、適切なタイミングでのメンテナンスを可能にすることで、装置の安定稼働と製品品質の維持に貢献します。

計測データの収集で分析・改善を実現

液滴の容量、速度、吐出角度、サテライト（主液滴から分離した微小な滴）の数など、吐出プロセスに関するあらゆるデータをリアルタイムで収集・提供します。これらの詳細なデータを分析することで、液体の粘度や圧力、温度といった環境要因による挙動の変化を正確に捉えることが可能です。得られたデータに基づき、最適な吐出パラメータを迅速に設定することで、継続的なプロセス改善を実現できます。

多様なディスペンサに後付け可能

国内の主要メーカーをはじめ、EFD、Asymtek、Vermesなど、市場にあるあらゆるメーカーのジェットバルブ（ディスペンサ）に対応しています。各メーカーのヘッド部分に合わせて設計された専用の固定具（マウントアダプタ）を使用することで、既存の設備にも簡単かつ迅速に取り付けが可能。お客様の環境を変えることなく、最先端の液滴モニタリングシステムを導入できます。

PCやスマートフォンから監視可能

本体にWeb GUIソフトウェアが内蔵されており、専用ソフトのインストールは不要です。有線LANで接続したPCはもちろん、無線接続によりタブレットやスマートフォンからも、吐出される液滴のリアルタイム映像や計測データにいつでもどこでもアクセス可能。生産現場から離れた場所での遠隔監視や、複数人での同時確認が容易になり、より柔軟な品質管理体制を構築できます。

300μmの超近接塗布に対応

微細な塗布では、ノズル先端と基板の距離（ディスペンスギャップ）を極限まで縮める必要があります。このような超近接状態では液滴が球体になる前に着弾してしまい、正確な容量計測が困難でした。この課題に対し、斜めから観察する角度付きビューカメラと特殊な計算アルゴリズムを備えた「ナノストローブX1」をご用意。基板から300μm（0.3mm）まで近づけても、リアルタイムで正確な容量計測が可能です。

ノズル洗浄を妨げない自動リフトアップ機構

安定した品質を保つためには、定期的なノズルクリーニングが欠かせません。オプションの自動リフトアップ機構を取り付けることで、ノズル洗浄やメンテナンスを行う際に、カメラユニットが自動的に上方に退避します。これにより、カメラユニットが作業の妨げになることなく、スムーズなメンテナンスが可能となり、設備のダウンタイム短縮にも繋がります。

半導体・液晶業界（工業製造）

半導体製造におけるアンダーフィル剤や、はんだペーストの微量塗布など、精度が品質に直結する工程で活躍します。ナノリットル、ピコリットル単位での吐出量が過不足なく管理されているかをリアルタイムで監視することで、製品の信頼性を高め、歩留まり向上に貢献します。

バイオテクノロジー（医療）

遺伝子を含む生きた細胞を、ダメージを与えることなく一滴ずつ吐出し、その容量や形状を正確に確認する研究開発に利用されています。また、複数の試薬を正確な比率で混合・配合する際にも、本製品のリアルタイム計測が極めて有効であり、実験の精度と効率を飛躍的に高めます。

医薬・化学工業

医薬品の研究開発における精密な薬剤配合や、エタノールなどの溶剤を正確な容量で混合する工程に活用されます。特にナノレベルの液滴は空中で瞬時に蒸発するため、吐出された直後に空中で計測できるナノストローブXの技術は、正確なデータ取得に不可欠です。

インクジェット

目視では確認不可能なピコリットルレベルのインク滴が、プリンターヘッドから設計通りに正確に吐出されているかを可視化し、確認する用途で使われます。これにより、印字品質の安定化や、ヘッド開発の効率化に貢献。その価値は高く評価されています。

モル株式会社は、MOL Solutions Inc.の日本法人として設立されました。MOL Solutions Inc.は、台湾、日本、ドイツ、フランス、マレーシア、中国に拠点を構えるグローバル企業です。インラインの大量生産に対応する革新的な光学・レーザー検査測定技術を専門としており、ドイツと日本の研究所を拠点に、東京大学との共同研究なども行いながら、常に最先端の技術開発に取り組んでいます。

企業概要

所在地	〒105-0012 東京都港区芝大門2-9-4 VORT芝大門Ⅲ4階
設立年月	2015年12月
URL	https://www.mol-solutions.com/