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タカラスタンダードのガラスフリット製品・受託加工
ガラスの配合・組成から自社で設計し、ニーズに合わせたガラスフリットを生産
タカラスタンダード株式会社では、さまざまな用途に向けたガラスフリットを提供しています。多種多様な原材料を使用し、配合・組成を研究することによって、お客様の要望に応じた特性を持つガラスフリットの設計・生産技術を確立しました。原料の調達、調合(混合)、溶融・急冷の他、お客様のご要望により、二次加工(粉砕)、三次加工(表面処理・球状化)も自社で一貫対応しています。これらの技術・設備を活かし、ガラスフリットの受託加工や特性評価のご要望にもお応えします。
目次
タカラスタンダードのガラスフリット事業
自社の主力製品開発で培った技術力
当社では、主力製品であるホーローキッチンや鋳物ホーロー浴槽などに使用されている“釉薬(ゆうやく)”を創業当時から活用して製品を生産。その釉薬には当社で独自に開発・製造されたガラスフリットを活用しています。
この研究成果を活かして、ホーロー以外の領域へも幅広く応用。絶縁性・耐久性を活かした「電子材料分野」への展開を中心に、化学耐久性を活かした「コーティング分野」、離形性・寸法安定性を活かした「フィラー分野」など、多様な分野に応用される革新的マテリアルとなっています。
ガラスフリットの一貫生産体制
当社では、原料の調達、調合(混合)、溶融・急冷の他、お客様のご要望により、二次加工(粉砕)、三次加工(表面処理・球状化)も行っています。
原料の受け入れ時、急冷後、粉砕後など各工程で検査が行われ、適切な品質管理を実施し、お客様の希望に沿った形状(フレーク、粒状、破砕粉末、球状粉末等)や組成での提供が可能です。お客様が抱えるさまざまな問題、ニーズにお応えできる体制を整えています。
調合(混合)
100種類以上の天然原料(けい砂、ほう砂、ソーダ灰など)および合成原料を、目標の機能に適した配合で秤量し、ミキサー等を用いて均一に攪拌(かくはん)混合を行います。設計された配合を適切に混合することにより、各種性能(色、熱膨張係数、転移点、軟化点、透明性など)を持つ溶融前の混合物となります。
溶融・急冷
均一に調合された混合物を800℃~1500℃になる炉で加熱し、液状となった融液をローラー等で一気に急冷することによってガラス化します。用途やガラスの性質、生産量に応じて、混合物を連続投入してガラス化する連続炉、るつぼと呼ばれる粘土質の容器にて溶融させるバッチ炉を使い分けています。
二次加工(粉砕)
溶融・急冷によってできたフリットについて、お客様の要望により、湿式または乾式粉砕をすることが可能です。この工程では、ボールミルを用いて、所定の粒径へ粉砕が可能です。また、フリット以外の原料(粘土、顔料など)についても同時に混合粉砕可能な工程となります。さらに、ジェットミルを用いた微粉砕も可能です。
三次加工(表面処理・球状化)
粉砕品に対して、追加の機能が必要であれば、表面処理や球状化処理などが可能です。例えば、樹脂との親和性を高めるためのシランカップリング処理や、樹脂への充填率の改善のための球状化処理等、お客様の要望に合わせて適切に処理することが可能です。
ガラスフリットの受託加工
原料調合~ガラスフリット作成~各種特性評価まで対応可能です。
ガラスフリット溶融作業 | 電鋳レンガ(連続式)、連帯炉(バッチ式)、白金ルツボ炉(バッチ式) |
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ガラス粉砕作業 | ボールミル式粉砕(乾式または湿式)、ジェットミル粉砕(乾式)、ビーズミル粉砕(湿式) ※粉砕可能粒径範囲:D50 1~50μm |
物性評価 |
LD、ICP、XRF、DTA、TMA、SEM-EDXなど |
ガラスフリットの2つの使用法と3つの機能
タカラスタンダードでは、お客様のニーズに合わせたガラスフリットを生産。その使用法は、大きく「混ぜる」と「溶かす」に分かれます。さらに、ガラスフリットは用途に応じて「フィラー機能」「コーティング機能」「焼結助剤(接着)機能」の3つの機能を発揮します。
混ぜる
粉末状にしたガラスフリットを、例えばセラミックス粉末と混ぜ合わせて新たな機能を付加、顔料と混合して着色する場合もあります。あるいは樹脂や各種溶媒などと混合して練り合わせペースト状にして加工すると、また違った用途に利用できます。
主な機能 | フィラー機能 |
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溶かす
熱すると融(と)ける・冷えると固まる性質を持ったガラスフリットの特性を活かし、さまざまな材料に塗布・添加・混合する事で機能性を持った複合材料を作ることができます。
主な機能 | コーティング機能 焼結助剤機能 |
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フィラー機能
ガラスフリットの粉末をさまざまな樹脂に添加することにより、新たな機能が生まれます。それがガラスフリットの「フィラー機能」です。フィラーとは、複合材料において高物性や高機能の付与、一部ではコストダウンなどの目的のために添加される、いわば「充填剤」のことです。
タカラスタンダードのガラスフリットは、年にわたるガラス研究の成果に基づき開発されており、優れたフィラー機能を備えています。不飽和ポリエステル樹脂・アクリル樹脂・エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂はもちろん、ポリプロピレン・ポリエチレンといった熱可塑性樹脂にも幅広く対応可能です。
フィラー機能の特長
透明性のコントロールが可能
透明な樹脂に対して、屈折率の違う材料を混ぜると透明性が失われます。当社のガラスフリットは、ガラス組成の調整におけるノウハウを活かし、対象の樹脂にあった屈折率を持たせることで、透明性において透明から半透明、白化に至るまでのコントロールが可能です。
表面硬度(耐傷性)の向上
ガラスのモース硬度(基準となる鉱物を用いて引っかいた時の傷つきにくさ)は5.5~7とされ、比較的傷に強く、さらに樹脂と混ぜることによって耐傷性をアップさせることが可能です。また、ガラスフリットの形状を変えることにより、充填率の向上が可能、耐傷性アップも期待されます。
耐久性・耐候性・耐湿性
100~200℃ほどで溶ける樹脂と比較して、ガラスの軟化温度は400℃~1000℃と高温です。そのため、樹脂と混ぜることによって耐熱性を向上させ、さらにガラス組成を調整することによって、耐候性、耐湿性などさまざまな機能も付与することができます。
樹脂成型物の寸法安定性
樹脂の熱膨張係数は、300~2000(×10⁻⁷)です。当社のガラスフィラーの熱膨張係数は30~60(×10⁻⁷)と低いため、温度変化による熱膨張を抑えることが可能。そのため、混合量を増やすことにより、製品の寸法安定性や、樹脂成型時の離形性の向上などが期待できます。
用途例
人造大理石 | シンク、浴槽、洗面台 |
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UV硬化接着剤 | スマートフォン、ネイル |
塗料 | 内装塗料、外壁外壁塗料 |
フィルム | 電子部品、スマホ保護フィルム、ICカード |
歯科材料 | 義歯、コンポジット、レジン(詰めもの、被せもの) |
その他樹脂成型物 | LED、自動車内装 |
コーティング機能
ガラスを溶かして外側に塗布、表面を覆うのがガラスフリットの「コーティング機能」です。陶磁器やセラミック素材の釉薬として、耐薬品性や耐久性を付与するために使われます。
タカラスタンダードでは、ガラスフリットのコーティング機能をホーローシステムキッチン、洗面化粧台、鋳物浴槽などに使用してきました。さらにその応用範囲は広がり、自動車部品やバイクのマフラー、絵の具・顔料、日常の食器やキッチン用品、さらにはタイルや外壁材といった建築資材にまで多岐にわたります。
コーティング機能の特長
意匠性と機能性を両立
ホーロー製品に必要な特性は密着性、清掃性、意匠性、耐久性など多岐にわたります。このフリットは、金属基材の種類(鉄、アルミ、銅など)に適した熱膨張係数、軟化点を組成の変化により実現しています。また、ホーロー製品の使用目的に応じて、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性などに特化したフリットを作製することも可能です。
耐熱・耐火性の付与
近年注目されているのがコーティング機能の耐熱・耐火性としての役割。需要が増しているのが、自動車関連で、特にバイクマフラーなどは耐熱塗料として高温の排気ガスが通るマフラーの内外を守っています。また、自動車関連以外の用途としてはガスコンロのトッププレートや五徳、グリルプレートなどの用途もあります。
用途例
ホーロー | ガスコンロ、南部鉄器(内側)原料、オーブン、キッチン用品(鍋、保存容器、ケトル) |
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ガラスエナメル | ガラス食器、車載用ガラス、ステンドグラス |
陶磁器釉薬・絵具 | 食器、避雷針内部部材、陶芸材料 |
耐熱塗料 | バイクマフラー、バーベキューコンロ、家庭用器物 |
焼結助剤機能
ガラスフリットはそのものの組成を変化させることで融点を調整可能です。ガラスフリットを材料に添加することで、焼結温度を調節したり、接着性能の向上が期待できます。その特性を活かして、有機の接着剤では使用できないような温度域で動作する製品に採用されています。
ガラスフリットの焼結助剤機能は、砥石などの「オールドセラミックス」から、最先端の電子基板、電極、封止剤などの「ファインセラミックス」まで、幅広く活用されています。特に、電子材料分野の市場拡大に伴い、さらなる需要増が期待されています。
焼結助剤機能の特長
高温環境に強い接合技術
ガラスフリットの融点調整が可能な特性を活かして、有機の接着剤では使用できないような温度域で動作する電子部材や、研磨時に高温となる砥石などに利用されています。例えば、電子部材への応用は、ガラスフリットと金属が混ざったガラスペーストを用いて、基盤等へ印刷・塗布され、基盤へのダメージを抑えた焼成温度で焼き付けられます。このように焼き固められた導線は導電性を持ちつつ、ガラスの長寿命な性質もあわせ持ち、電子機器の性能向上に大きく寄与しています。
コンタミの少ない高品位性能
電子材料として重要な要素は、不純物が混ざらないピュアな素材であることです。特殊な電子デバイスでは、一定の条件下で基板や部品と反応して性能を悪化させる元素を嫌ったりする場合があります。「特定の元素を除いた焼結助剤機能を持つガラスフリットが欲しい」というご要望も多く、それらに応えるために研究を通じて得られた知見を活かした製造方法を提案しています。
用途例
オールドセラミックス(砥石など)
焼いて作る砥石といわれるビトリファイド砥石は、研磨・切削の役割を担うアルミナやSiC(炭化ケイ素)などの高融点の砥粒の中に、低融点のフリットを分散し、ガラスは溶けるが、砥粒は溶けない温度で焼成することにより、大きく頑丈な砥石を作製することが可能です。
ビトリファイド砥石 | ビトリファイド砥石、回転砥石 |
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ファインセラミックス(電子基板、電極、封止剤など)
幅広い焼成温度帯や組成の調整範囲を活かし、セラミックスとガラスフリットをミックスして焼結助剤として提供。MLCC(積層セラミックコンデンサー)やLTCC(低温同時焼成セラミックス)など、性能の高いセラミックス基板の重要部分に応用されています。また、太陽電池セルの電極や合わせガラスの封止剤にも使用されており、その応用の幅は確実に広がっています。
ファインセラミックス | 電子デバイス、チップ部品、LTCC |
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電極 | 点火プラグ、基板接点保護、耐火物 |
封止・封着 | 導電部材(金属)、ガラス管の封止 |
製品化への流れ
お問い合わせ(Web~TEL等) | 「こんな機能が持たせられないか」「こんな形にできないか」等々、興味を持たれましたらお問い合わせください。 |
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諸条件お打ち合わせ | ガラスフリットの概要説明、過去の使用例、量産までの工程手順など、詳細について打ち合わせいたします。 |
推奨品ご案内 | 要望の機能、形態が決まりましたら、当社より推奨品のご案内およびサンプルのお見積もりをいたします。 |
サンプルご評価 | サンプル品を評価検討いただき、課題・問題点を精査しながら、納得のいくまでフォローいたします。 |
量産試作 | 量産を想定した製品試作で設計の基準を満たしていることや、量産が可能であることを確認いたします。 |
試作品ご評価 | 市場に出す前に、試作品が課題を解決しているか、機能や特長を満たしているか、使用感はどうか等の評価をいただきます。 |
仕様・価格取り決め | 最終的な仕様を取り決め、検証データ等も添えて契約へと進みます。 |
量産 | 契約に基づいて当社も量産体制に入りますので、量産受け入れ準備を整えていただきます。 |
納品 | 要望に合わせた納品形態での納品、新たな課題や要望はそのつどお知らせください。 |
充実の試験研究設備
あらゆる方向、異なる視点から、ガラスフリットの研究に必要な各種検査研究設備をご用意。充実した試験研究設備を活用しながら、ガラスフリットの特性評価と物性の検討を行っています。データに基づいた高品質なガラスフリットの提供は、幅広く産業界からも支持されています。また、お客様から測定のみを請け負うケースもございます。
測定装置一覧
レーザー回折式粒度分布測定器 | レーザー回折法によるガラス粉末粒径測定 |
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走査型電子顕微鏡SEM+EDX | X線により1μm~数百μmの像を撮影可能(3D可)。EDXによる、SEM像内の元素マッピング分析可能 |
重量-示差熱分析測定(TG-DTA)・熱機械分析(TMA) | ガラスの熱特性(熱重量減少、転移点、屈伏点、軟化点、結晶化温度、熱膨張係数)の評価が可能 |
粉末X線回折(XRD) | X線により試料の結晶構造を解析可能 |
赤外線集光炉(IR炉) | 高速プログラム昇温、高温下での撮影が可能 |
蛍光X線回折(XRF) | X線により元素の同定が可能 |
ICP発光分光分析(ICP) | 燃焼火炎の分光により元素の同定が可能 |
その他 | デジタルマイクロスコープ、FT-IR、アッべ屈折計、ゼータ電位計、BET計、アルキメデス比重計、流れ分析機、テーバー試験機、色差計、電磁式膜厚計、光沢計 など |
タカラスタンダード株式会社について
タカラスタンダードは、水まわり専業メーカーとして、長年にわたり研究開発を続けてきました。主力製品であるホーローキッチンや鋳物ホーロー浴槽などに使用されている“釉薬(ゆうやく)”を創業当時から活用して製品を生産。その釉薬には当社で独自に開発・製造されたガラスフリットを活用しています。この研究成果を活かして、ホーロー以外の領域へも幅広く応用。絶縁性・耐久性を活かした「電子材料分野」への展開を中心に、化学耐久性を活かした「コーティング分野」、離形性・寸法安定性を活かした「フィラー分野」など、多様な分野に応用される革新的マテリアルとなっています。
会社概要
所在地 | 〒536-8536 大阪市城東区鴫野東1丁目2番1号 |
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設立年月 | 1912年5月 |
URL | https://www.takara-standard.co.jp/ |